絵本の話②「ちへいせんの見えるところ」

「ちへいせんのみえるところ」
作・絵:長新太/ビリケン出版

 

 

まえだゆうきの絵本の話②【ちへいせんのみえるところ】特集「長新太」シュール絵本入門

まえだゆうきの絵本の話②【ちへいせんのみえるところ】特集「長新太」シュール絵本入門

 

 

こんにちは!
まえだゆうきです^^

みなさんは、「好きな絵本作家」っていますか?

 

 

かこさとしとか

 

 

佐野洋子とか

 

 

五味太郎とか

 

 

色々、素敵な絵本作家っていますが

 

「一番好きな絵本作家誰ですか?」って聞かれたら
迷わず答えるのが

 

 

長新太ですね!

 

みなさん、長新太知ってますか?

 

 

ゴムあたまポンたろうとか

 

キャベツくんとか

 

色々な作品がありますね^^

日本が、というよりは
世界が誇る「シュール絵本作家」ですね!

 

 

 

【シュール絵本って何だろう??】

 

みなさん、シュール絵本って
一体なんだ?って思うかもしれませんが

  

 

例えば、物語のある絵本って
「お話のスジ」ってあるじゃあないですか?

 

 

例えば「ぐりとぐら」


  

 

ぐりとぐらが、森にピクニックに行ったら
大きな卵を見つけて

大きくて、お家に持って帰れないから
大きなカステラをその場で作って

 

森の動物たちと、楽しいパーティーをしました。

 

みたいなものですね

 

お話の「起承転結」とか「流れ」
そういったものですね

 

 

でも、シュール絵本っていうのは
お話の流れっていうものが、ないものが多いんですね^^

 

だから
すごく、説明がしにくい…(汗

 

 

 

説明がしにくいので
実際に、絵本を読んでみたいと思います!^^

 

 

【ちへいせんのみえるところ】

読み聞かせ

 

 

ジャジャーン!

 

「ちへいせんのみえるところ」
長新太の代表作ですね!

 

まずは、みてください
この「ちへいせんの風景」

 

 

 

いやぁ、長新太って地平線を書かせたら天下一品なんですよ!

彼の描く地平線は、どれも心をゆさぶるんですよね。

 

 

※YouTubeで楽しそうに、読み聞かせ中^^

 

 

 

(読み終わりました)

 

いやぁ、相変わらず素晴らしいですね

 

もう、全く訳がわからない!^^

 

 

「でました」しか、絵本に書いていないですものね。


注)驚くべきことに、絵本の中には「でました」しか文字が書いてありません^^

 

 

一体何が出たのか?

なぜ出たのか?

なぜ地平線??

 

 

もう、最初から最後まで
何がなんだかわからないんですよね^^

 

 

わからないけれども

 

「これが正解!」っていうことだけは
わかるんですよね^^

 

すみません、さっきから説明らしい説明を
一つもしていないんですけれども…(汗

 

  

あえて例えていうとすれば、ですね

 

 

 

「夏の終わりの夕暮れ」とか
あるじゃないですか

 

 

雑木林があって

 

ひぐらしが鳴いていて

 

チューペットとかチューチューすってて

 

あぁ、夏休み終わっちゃうなぁ。とか

  

 

 

そうゆうものって「なぜそれがいいか」
説明不可能じゃないですか^^

 

 

いやー「夕暮れがなぜ美しいか」はね。

太陽の光がプリズムしてね…とか

そうゆうのって、野暮ったいじゃないですか^^!

 

 

 

それと一緒で、長新太の絵本のよさっていうのは

説明して楽しむものじゃなくて
「感じて楽しむ」ものなんですね

 

まさに、「夏の夕暮れみたいな絵本作家」な訳です^^!

 

 

 

それにしても、こうったシュールな絵本が
出版されているっていう事実が、何よりもすごいですよね!!

 

 

例えば、出版社の編集部とかで
「地平線…いいね」とか
「これ、売ろうぜ。」とか

「地平線、最高だよ!」とか話し合って

 

出版して

書店に並んでいる訳ですものね

 

 

そうやって、「シュール絵本が一定の評価をされている」
っていうところに

 

 

日本の絵本のレベルの高さとか

 

日本の絵本読者の皆様のレベルの高さ

 

 

そんなものを感じますよね。

 

 

【日本の絵本について】

 

 

前に、絵本作家の五味太郎が
インタビューで答えていたんですけれども

 

海外の絵本は
「文字が多いものが好まれる傾向がある」っていうことを話ていたんですよね

 

それは
海外の絵本が、絵本っていうものを、児童文学として捉えている
っていう部分もあると思うんですけれども 

 

  

ひるがえって
日本の絵本って、「文をすごく削る傾向」があるんですよね

  

 

昔からある、「わびさびの文化」とか

 

和食もそうですね
素材の味を活かすとか、お出汁を効かせて料理するとか

 

ある種の「引き算の美学」みたいなものが
絵本にも影響していて

 

 

なるべく、文字を少なくする
っていう傾向になっている気がします

 

それで
文字を少なくすると、何が起こるかっていうと

 

 

「言葉が引き立つ」んですよね

 

なんていうか

 

「言葉にならないところ」まで、僕らが想像する「余白」が生まれるっていうんでしょうか

 

 

 

だって、この「ちへいせんのみえるところ」なんて

 

削るも何も

 

「でました」しか書いてないですからね^^!!

 

 

でも、この「でました」のなかに
色々な「でました」があって
想像力が降るらむんですよね

 

なんで、でたんだろう?
なぜ、でたんだろう?

 

 

同じ「でました」でも言い方ひとつで
ニュアンスが変わったり…

 

 

そんな風に

 

言葉を削れば、削るほど
僕たちに、「投げかけられている」っていう感じがするんですよね

 

 

それやって、削って、削っての
一つの到達地点っていうのが
「シュール絵本」なんじゃないかな?
 

 

って、僕は思ったりしているんですよ

 

 

「シュール絵本」っていうのは、引き算の美学が生み出した
想像する余白が、たくさん詰まった絵本なんですね^^!

 

 

 

【まとめ】

 

確かに、この現代で

「わびさび」なんて古いかもしれない出るけれども

 

まだ、絵本の中には
そうゆうものが残っている気がしてですね

 

僕が絵本を好きな理由のひとつでもありますね^^

 

 

 

だって
絵本って、子どもが生まれてきてから
初めて出会う本じゃないですか

 

 

 

だから、どんな絵本と出会って

 

どんな絵本にワクワクして

 

どんな絵本を面白いなぁ。って感じるかって

 

 

すごく大事だと思うんですね^^

 

 

ぜひですね、未来ある子どもたちには
長新太読んでもらって

  

 

シュール絵本の良さがわかる
素敵な大人になってほしいなぁ^^

って、僕は思いますね^^!

 

 

 

いかがでしょうか?

ぜひ、楽しく絵本を読んで
毎日を健やかに過ごしてください^^

 

 

 

それでは、みなさん
次の絵本で!
 

  

  

  

See you——–!!
 

 

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Writing by 絵本作家「まえだゆうき」

2019-07-10.jpg

代表作「くもおとこ」「エスカレーター」など
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