突然ですが皆さんは、タンブンってご存知ですか?
微笑みの国と呼ばれ、敬虔な仏教徒の多いここタイならではの心温まる風習、それがタンブン。
直訳すると「善行を行う・功徳を積む」などの意味になるようで、文字通り社会的弱者に施しを与えたり、寄付を行ったりする事全般を指してタンブンと呼んだりするのだそうです。
例えば誕生日。
我が国日本では、誕生日といえばプレゼントを貰ったり、ご飯をご馳走になったり、嬉しい事ずくめのイベントというイメージがありますが。
ここタイでは、誕生日といえばタンブンを行う絶好のチャンス。
誕生日を迎えた当人はプレゼントを貰うどころか、同僚に気前よく奢ってあげたり、献血に行ったり、寄付をしたりするのだそうです。
(そのせいか、タイ人は友達の誕生日をよく覚えていて、ちゃっかりご相伴にあずかろうと待ち構えているとかいないとか。笑)
//////////////////////////
はてさて、すっかり前置きが長くなってしまいましたが、私、絵本作家まえだゆうきは、先日、そんなタンブンの一環として、タイの子どもたちに絵本を配って参りました。
一緒に同行して下さったのは、タイの老舗日系企業、日髙洋行エンタープライズ株式会社の皆様。
チャセンサオ県の学校2校を回って、体操服やお菓子を配ったり、ウォーターサーバーの設置を行ってきました。
タイにやって来て2ヶ月と半分。まことにたどたどしいタイ語ではありますが、精一杯心を込めて子どもたちに絵本を朗読して来ました。
(紙芝居の裏にカタカナで台本を書いていたのは内緒です)
絵本の朗読の後はギターで歌も披露。
タイの子どもたちは日本のアニメが大好きとの噂を聞きつけて、タイ人の友達からアコースティックギターを借り受け、夜な夜な安アパートの一室で、一休さんとドラえもんの歌を猛練習しました。
僕が小さい頃、お茶の間で楽しみにしていたアニメを、タイの子どもたちも同じように楽しみに観ていると思うと、何だか不思議な気持ちになりますね。
子どもたちには特にドラえもんの歌が大好評でした。
そうして配った100冊の絵本は、フリーペーパーDACOさんの協力で実現した100%ハンドメイド絵本。
ほんの少しでも、子どもたちの心に、そして思い出に残ってくれたのならば嬉しいです。
タンブン。
できれば楽しく、毎日やりたい事をやって、サバイサバーイで生きていきたい僕たちだけれども。
ほんの少しでも誰かの為を想って行う行動は、僕たちに謙虚さや、敬虔な気持ちというものを思い出させてくれる。
満面の笑顔で見送ってくれた子どもたちの姿を、車窓からいつまでも眺めながら、そんな事をふと思いました。
絵本作家まえだゆうき